結論:菌根菌自体は硝酸イオン(NO₃⁻)を還元する主要な役割を持たないが、一部の種類は関連するプロセスに関与する可能性がある。
1. 硝酸イオン(NO₃⁻)の還元は主に細菌の働き
硝酸イオン(NO₃⁻)から亜硝酸イオン(NO₂⁻)への還元は、主に脱窒菌(嫌気性細菌)によって行われます。
✅ 代表的な脱窒菌(硝酸イオンを還元する微生物)
- Pseudomonas(シュードモナス属)
- Paracoccus(パラコッカス属)
- Bacillus(バチルス属)
これらの細菌は、嫌気環境で硝酸を電子受容体として利用し、窒素ガス(N₂)として大気中に放出します。
2. 菌根菌と窒素の関係
菌根菌(mycorrhizal fungi)は、主に植物と共生してリン(P)や微量元素の吸収を助ける役割を持ちますが、一部の菌根菌は窒素代謝にも関与しています。
✅ 窒素との関連がある菌根菌
- エクトマイコリザ(外生菌根菌)(例:トリュフ、ベニタケ属、アミガサタケ属)
- 有機物の分解を助け、アンモニウム(NH₄⁺)やアミノ酸の供給を促進。
- 一部の種は土壌中の窒素循環に関与するが、脱窒作用(NO₃⁻ → NO₂⁻)を直接行うわけではない。
- アーバスキュラー菌根菌(AM菌)(例:Glomus属)
- 主にリン(P)を供給するが、植物の窒素吸収を助けることが報告されている。
- 一部の研究では、AM菌が土壌中の窒素利用効率を向上させることが示されているが、硝酸の還元(脱窒)には直接関与しない。
✅ 菌根菌の間接的な影響
菌根菌は、共生している植物の根圏環境(リゾスフィア)を変化させ、硝酸イオン(NO₃⁻)の動きを間接的に影響する可能性がある。例えば:
- 菌根菌が植物の窒素吸収を促進することで、土壌中のNO₃⁻濃度が変化し、脱窒菌の活動が影響を受ける。
- 菌根菌の代謝産物が土壌微生物の活動を調整し、硝酸還元の速度に影響を与える。
3. 菌根菌の中で脱窒を行うものはあるか?
✅ 脱窒菌と共生する可能性のある菌根菌は存在するが、菌根菌自体が脱窒を行う明確な証拠は少ない。
- **一部の菌類(カビや腐生菌)**には硝酸還元能力を持つものがあるが、菌根菌(植物と共生する菌)ではその能力は確認されていない。
- ただし、菌根菌が形成する環境(根圏や菌糸圏)が、脱窒菌の活動を促進することはあり得る。
4. まとめ
❌ 菌根菌自体が硝酸イオン(NO₃⁻)を還元する能力は確認されていない。
✅ しかし、菌根菌が植物の窒素吸収を助けたり、土壌微生物の働きを変えることで、間接的に硝酸の動きに影響を与える可能性がある。
✅ 脱窒作用(NO₃⁻ → NO₂⁻ → N₂)は、主に細菌(Pseudomonas, Bacillus など)によるプロセスである。



Leave a Reply