石灰や苦土の適切な量を決定するためには、土壌の性質や作物の要求に基づいた調査と計算が必要です。以下に、調査方法と計算方法を詳しく説明します。
1. 調査方法
(1) 土壌の酸性度(pH)測定
- 目的: 土壌のpHを測定し、酸性度を補正するための石灰量を決定します。
- 方法:
- 土壌サンプルを採取(深さ15~20cm)。
- 試薬やpHメーターを使用して測定。
- 作物に適したpH範囲(一般に6.0~7.0)を確認。
- 例: 稲作ではpH6.0~6.5、野菜ではpH6.5~7.0が適切。
(2) 基本的な土壌分析
- 目的: 土壌中の栄養素(カルシウム、マグネシウム、カリウム、リンなど)の含有量を把握します。
- 方法: 専門機関(農業試験場や大学、民間分析サービス)に土壌サンプルを提出し、CEC(陽イオン交換容量)や塩基飽和度の分析を依頼します。
- カルシウムとマグネシウムの理想的な比率: 一般に6:1~8:1が目安です。
2. 計算方法
(1) 石灰の適量計算
- 土壌酸性度を補正するために必要な石灰量は、次の式を用います。
必要な石灰量の計算式
必要量(kg/10a)=目標pH – 現在のpH土壌緩衝係数×補正係数\text{必要量(kg/10a)} = \frac{\text{目標pH – 現在のpH}}{\text{土壌緩衝係数}} \times \text{補正係数}必要量(kg/10a)=土壌緩衝係数目標pH – 現在のpH×補正係数
- 目標pH: 作物に適したpH値。
- 現在のpH: 測定値。
- 土壌緩衝係数: 土壌タイプに依存(例: 粘土質 > 砂質)。
- 補正係数: 使用する石灰の種類に応じて調整。
- 消石灰(Ca(OH)₂): 1.0倍。
- 苦土石灰(MgCO₃含有): 0.5~0.8倍。
例
- 現在のpH: 5.5
- 目標pH: 6.5
- 緩衝係数: 0.5(砂質土壌の場合)
- 補正係数: 1.0(消石灰使用)
必要量=6.5−5.50.5×1.0=2.0 t/ha(200kg/10a)\text{必要量} = \frac{6.5 – 5.5}{0.5} \times 1.0 = 2.0 \, \text{t/ha(200kg/10a)}必要量=0.56.5−5.5×1.0=2.0t/ha(200kg/10a)
(2) 苦土の適量計算
- 苦土の施用量は、土壌中のマグネシウム含有量やカルシウムとの比率を基に決定します。
簡易式
苦土必要量(kg/10a)=土壌分析結果(mg/100g)×不足量補正係数\text{苦土必要量(kg/10a)} = \text{土壌分析結果(mg/100g)} \times \text{不足量補正係数}苦土必要量(kg/10a)=土壌分析結果(mg/100g)×不足量補正係数
- 不足量補正係数は、土壌分析機関が提供するデータを基に決定。
カルシウムとの比率調整
- 理想比率: Ca:Mg = 6:1~8:1。
- 比率が崩れている場合、苦土石灰や他の資材で調整します。
3. 実施前の注意事項
- 施用の分割: 一度に大量施用せず、2~3回に分けて施用することで効果的かつ安全に調整できます。
- 有機物の併用: 堆肥や緑肥と組み合わせることで、石灰や苦土の効率を向上させることができます。
- 水溶性の確認: 速効性資材(消石灰)と緩効性資材(炭酸カルシウム)の特性を考慮して選択する。
4. 実施後のモニタリング
- 土壌pHや栄養バランスを定期的にモニタリングし、必要に応じて施用計画を見直します。
- 年に1回程度の土壌分析を推奨します。
適切な施用量を計算し、持続可能な土壌管理を行うことで、作物の成長を最大化し、長期的な土壌の健康を維持することが可能です。



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